世界の動き

ICカードとは

ICカードの発明は日本人の手によるものだということ、そして、ICカードの実用化に関しては、日本は一足遅れてしまったというお話はしました。

それでは、ICカードのアイデアが生まれてから、世界では、一体どのようにICカードが受け入れられ、普及していったのでしょうか?

最初に、ICカード実用化に取り組んだのは欧州でした。
なぜ欧州がICカードの実用化を急いだのか、それは「ペーパークライシス」と呼ばれる当時の状況が関係しています。
欧州では日本と比べ、小切手が多く使われていました。
そのため、小切手の処理・管理コストがかかりすぎるようになってしまったのです。
これが「ペーパークライシス」です。その状況を改善するアイテムとして、ICカードがもってこいだったのです。

さらに欧米では貨幣や紙幣の偽造が多かったので、偽造の難しい電子マネーに期待が寄せられました。
欧州の中でも、最初にICカードの大規模な導入に踏み切ったのはフランスです。フランスは国策として、ICカードの普及に努めました。

まず1983年にテレホンカードのICカード化がはじまりました。それから、1990年からフランス全銀行の統一カードであるCBカードがICカードに切り替えられ(1992年に100%ICカード化、2004年時点で発行枚数4,300万枚)、また1998年にはICカードの健康保険証(ヴィダルカード)が開始されました。

また、イギリスでは1995年にモンデックスと呼ばれる電子マネーが導入され、ドイツでは1996年に銀行カードに電子マネー(ゲルトカルテ)機能がついたICカードが導入されました。
ゲルトカルテは現在5,500万枚以上発行され、人口の7割が持っていると言われています。

しかし、どこよりもICカードを支持し、発達させたのは、意外にも、欧州ではなくアジア国の人々でした。
アジアでのICカード人気の背景には、その交通事情があります。
カードを財布に入れたままでも、すいすい改札を通過できる乗車ICカードは、混雑する改札にあえいでいたアジアの人々の救世主となったのです。
利用者のニーズにばっちり応えた乗車カードは、人々の必需品になりました。そしてさらにその乗車カードは、コンビニエンスストア・ファーストフード店などでの支払い機能が追加されることで、交通用途だけでなく、電子マネーとしても活躍をはじめるようになります。

これが香港のオクトパス(1997年導入)です。

オクトパスは香港の地下鉄や鉄道、バス、フェリーなどで使える交通機関共通カードで、香港の人口700万人弱に対して発行枚数約1,400万枚という高い普及率を誇っています。

その他、アジアで利用されている交通ICカードは、マレーシアのTouch’n Goカード(1998年導入)、シンガポールのez-linkカード(2002年導入)などが挙げられます。ez-linkカードも、シンガポールの人口400万人に対して約900万枚のカード流通量という、驚異的な普及率でがんばっています。

また交通カードだけでなく、ICカードはIDカード(身分証明カード)としても活用されています。
2003年6月から香港のIDカードとしてICカードの配布が開始され、2007年6月までに香港居住者全員に配布される予定です。マレーシアでも多目的(身分証明書、健康情報、電子マネー、キャッシュカード、運転免許証、パスポートなどのアプリケーションを備える)市民カードMyKadが2001年に導入、約2年間で570万枚配布されました。

ここで、日本ではあまり馴染みがないのですが、世界では約10億万枚以上の巨大市場を持つと言われるICカードにも触れておきます。

それは「SIMカード」と言うもので、現在日本と韓国を除く、ほぼ全世界のGSM方式携帯電話で利用されています。
SIMカードは、自分の電話番号やユーザーID、契約先電話会社との契約情報など、携帯電話を使うために必要な情報のほとんどが記録されている、携帯電話から取り外し可能なICチップのことです。

ちなみに日本では最近になって、ようやくSIMカードが導入されるようになりました。
NTTドコモ、ソフトバンク、au、3社とも、第三世代(3G)携帯電話から、SIMカードが利用されています。

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